政治家・猪口邦子氏といえば、日本初の少子化担当大臣を務めるなど、女性の地位向上やジェンダー平等に尽力した人物として知られています。
そんな猪口氏の功績に劣らず注目されるのが、彼女の祖父・横田昇一氏の偉業です。
横田氏は、日本音楽文化の発展を支えた実業家であり、著作権制度の改正を実現した立役者として歴史に名を刻みました。
本記事では、横田昇一氏が成し遂げた功績や彼が発刊した『蓄音器世界』、さらに彼が日本音楽に与えた影響について深掘りしていきます。
猪口邦子の祖父・横田昇一とは?その生涯と業績
猪口邦子議員の父方の祖父・横田昇一氏は、岡山県総社市出身の実業家。
彼は「蓄音器業界のパイオニア」とも呼ばれ、日本における音楽文化の普及と権利保護に尽力しました。
1915年には、音楽業界誌『蓄音器世界』を創刊。
これは、日本初の蓄音器に特化した業界誌であり、当時の音楽業界の動向や最新技術、さらには文化的側面まで網羅した革新的なメディアでした。
猪口邦子氏は、2019年に祖父の墓参りをした際の写真をSNSで公開し、「実業家だった横田昇一も、雑誌『蓄音器世界』を発刊すると共に著作権制度の保護に努めました。」とコメントを寄せています。
猪口邦子の祖父・横田昇一の『蓄音器世界』とは?
猪口邦子の祖父・横田昇一氏が関わった『蓄音器世界』は、日本の蓄音器市場の成長を促すために発刊されました。
この雑誌は、単なる情報提供にとどまらず、以下のような多岐にわたる内容を含んでいました。
- 新譜案内
発売されたばかりのレコードのレビューや紹介。 - 業界ニュース
蓄音器やレコードの市場動向や新技術についての情報。 - 教育・文化的活用法
蓄音器を教育や家庭生活にどのように活用できるかについての提案。
横田氏は、蓄音器を「家庭を明るくし、教育の道具としても使える画期的な技術」として位置づけ、多くの人々にその魅力を伝えました。
音楽文化を守るための著作権制度改正
当時の日本では、レコードのコピー品が横行していました。正規のレコードを購入して複製し、安価で販売する「複写盤業者」が市場を席巻し、正規レコード会社が存続の危機に陥っていました。
猪口邦子議員の祖父・横田昇一氏は、この問題に真正面から立ち向かいました。
改正に向けた行動
横田氏は、政府や議員に働きかけを行い、衆議院議員の鳩山一郎(後の内閣総理大臣)に陳情するなど、著作権法の改正を推進しました。
その結果、1920年(大正9年)、以下のような改正が実現しました。
- 演奏・歌唱の権利が保護対象に追加
レコードに収録された演奏や歌唱が著作権として認められる。 - 無断複製の禁止
レコードの無断複製を禁止し、違反者には罰則が科される。
この改正により、音楽業界は再び活気を取り戻し、レコード生産額が大幅に回復。
横田氏の尽力が、日本の音楽業界を救ったと言っても過言ではありません。
横田昇一の信念:蓄音器と音楽の未来を信じて
横田氏は単なるビジネスマンではなく、蓄音器が持つ可能性に深い信頼を寄せていました。彼はこう語っています。
「蓄音器は単なる娯楽の道具ではない。知識や芸術を普及させ、家庭や教育を豊かにする存在である。」
横田氏の言葉からは、蓄音器という技術を単なる商品としてだけでなく、文化を支える基盤として捉えていたことがわかります。
まとめ
横田昇一氏は、雑誌『蓄音器世界』の創刊や著作権制度改正を通じて、日本の音楽文化を守り育てた実業家でした。
その功績は、現在の音楽業界の基盤となっています。
猪口邦子氏の祖父としてだけでなく、音楽文化の革新者として歴史に名を刻んだ横田昇一氏。
彼の行動力と信念は、現代の私たちにも多くの示唆を与えてくれます。
これからも彼の偉業が語り継がれ、日本音楽の未来を支える原動力となることを願っています。
参照)東京大学 https://www.l.u-tokyo.ac.jp › hosokawa2003
早稲田大学リポジトリ https://waseda.repo.nii.ac.jp/record/9544/files/Honbun-5985.pdf
コメント